支援事例
業務の切り分けがカギ
スポットワーカーで人手不足を解消
| 業種 | サービス業 |
|---|---|
| 事業内容 | 各種服飾品のクリーニングサービスおよびクリーニング店「みつやクリーニング」の運営 |
| 住所 | 大阪府河内長野市 |
| 従業員数 | 10名 |
創業50年を迎えて法人化を行った株式会社ラルムの山口典孝氏。クリーニング業界は繫閑差も大きく、多様な人材活用が喫緊の課題でした。熟練スタッフが専門的業務に専念し、専門的な技術を必要としない業務をスポットワーカーに任せる戦略的な業務分担と人材活用にたどり着くまでのお話を伺いました
求人誌では人が集まらず、繁忙期は作業が追いつかない状況に
人材確保に取り組まれた経緯について教えてください。
当社は河内長野市内で5店舗を構えるクリーニング店です。大手のように全自動ではなく、例えばシャツの仕上げでは袖とボディーを別々の機械でプレスしたり、綿素材は手作業でアイロンをかけたりと、手間を惜しまない丁寧な仕事が強みです。
ただ、その分どうしても人手が必要になります。特に、春の新生活シーズンが始まる3月下旬から5月初旬は繁忙期のピークで、作業がなかなか追いつきません。以前は求人誌に広告を出していましたが、思うように採用できない状態が続いていて、困り果てて大阪産業局に相談したのが始まりです。
未経験者に任せる業務を切り分ける、という逆転の発想
大阪産業局のアドバイザーからは、どのようなアドバイスがありましたか?
当社の状況を見て「スポットワーカーを活用してみてはどうか」と提案をいただきました。正直、クリーニングは専門的な技術を要する仕事なので、未経験の方に来ていただくイメージが持てなかったのが最初の印象でした。しかし、アドバイザーの方と話す中で、全ての業務を任せるのではなく、「未経験の方にお任せできる作業をあらかじめ切り出しておく」という方法に気づかされました。
例えば、衣類を機械に入れる前のハンガー掛けや、シャツをプレス機にかける前のセッティング、最終の包装作業などです。これらの作業をスポットワーカーにお願いすることで、熟練スタッフが専門的な作業に集中できる体制を考え、まずは閑散期の冬から募集を始めました。
短時間勤務が、子育て世代のニーズと見事に合致
人材の受入れや定着について工夫していることはありますか?
業務が立て込む午前中の時間帯で募集したところ、お子さんを送り出してから迎えに行くまでの限られた時間で働きたい、というニーズと見事に合致し、30代から60代の女性の方が8割で、特に子育て中の方が多くいらっしゃいます。これまで延べ30名ほどの方をスポットワーカーとして採用し、そのうち4名の方は長期雇用に移行しました。中には接客が得意な方もおられ、今では店舗スタッフとして活躍してくれています。スポットワーカーの方々に安定して入ってもらえるようになったおかげで、熟練スタッフはアイロンがけなど専門業務に集中でき、無事に繁忙期を乗り切ることができました。
工場から店舗へ、次のステップを見据えて
最後に、今後の事業方針についてお聞かせください。
ノンアイロンシャツの普及などでクリーニング業界では、お客様のライフスタイルや価値観の変化に対応した新しいサービスの創出が求められていますが、それでも大手にはできない丁寧な仕事を続けていけば、街のクリーニング店の需要は根強く残ると信じています。そのためにも、人材は不可欠です。
幸い、今回の取り組みで工場の生産体制は落ち着きました。今後は、店舗スタッフの募集にも力を入れていきたいです。お客様のご要望を細かく伺う大切な役割ですので、接客経験のある方などに来ていただけたら嬉しいですね。事業を大きくするというよりは、目の前の仕事を一つひとつ丁寧に行い、働いてくれる方と共にしっかりと利益を出せる会社でありたいと思っています。
公開月:2025.11
