中小企業のための人材採用コンシェルジュ

支援事例

副業人材をシステム開発に活用
人材確保難から解放され、新事業進出にも

株式会社ナノベース
代表取締役 田中 康一 氏
業種情報通信業
事業内容独自のシステム構築基盤「ナノフレームワーク」やオーダーメイドのシステム構築、パッケージ製品のカスタマイズなど
住所大阪府大阪市西区
URLhttps://www.nanobase.co.jp/
従業員数10名

株式会社ナノベースは、独自の基盤「ナノフレームワーク」を駆使し、オンリーワンのシステム開発を手掛けています 。開発案件の増加に伴いエンジニアの採用が急務となる中、従来の採用手法では応募者が減少し、プロジェクト遅延のリスクに直面。この採用難を打開するため取り組んだ『副業人材活用への再挑戦』と、その効果について、代表の田中康一氏に伺いました 。

採用難でプロジェクト進行が遅れるリスクも

人材確保に取り組まれた経緯をお聞かせください

採用に課題を感じ始めたのは、3年ほど前からです。それまで中心だった大手求人サイトを利用しても、応募者の減少傾向は明らかでした。さらに、求める人物像とマッチしない応募が増え、採用に至らないケースが多くなっていました。そんな中、開発案件が増加し続け、採用が滞ることでプロジェクトの進行に遅れが生じるリスクが増大しており、継続的なエンジニアの確保が不可欠だと判断し、その打開策として大阪産業局の採用戦略アドバイザーへ相談しました。

応募者の多さとレベルの高さに驚く

副業人材の活用は以前にもご経験があったそうですが、今回はどのようにアプローチが変わったのでしょうか

副業人材との協働は、これまで思うような結果に結びつかなかったため、正直懲りていました。しかし、大阪産業局の採用戦略アドバイザーから「業務の切り出し」という新たな視点でのアドバイスを受けました。その内容は、正社員でなくても担える業務、あるいは特定のプロジェクトに限定して外部人材に依頼できる業務を洗い出し、明確にした上で募集するというアドバイスでした 。この助言を受けて、まずは業務を洗い出し、副業人材へ依頼できる業務の切り出しを行いました。その上で、大阪産業局が連携する信頼性の高い副業人材マッチングサービスを活用し、再び挑戦する決意をしました 。

結果は吉と出ました。まず驚いたのは、正社員募集時の何倍もの応募数が集まったことです。しかも名だたる会社でプロダクトマネージャーをしている方や、経験豊富なエンジニアからの応募があり、想像以上のレベルの高さでした。2024年12月から募集を始めて以来、20代後半から40代までの約30名のエントリーがあり、12名と契約に至っています(うちエンジニアは9名)。

コストメリットも非常に大きい

どのような方が即戦力になっていますか?

応募動機は、「自身のスキルアップやキャリアアップのためにチャレンジしたい」と「今持っているスキルを活かして収入を増やしたい」の2つのタイプに大きく分かれます。当初はどちらのタイプとも協働してみましたが、「スキルアップ」を重視する方は、こちらが教えることが多くなる傾向がありました。一方、「今持っているスキルを活かしたい」というタイプの方は、即戦力として活躍してくれています。また、その中間にあたる、一定レベルのスキルを持ちながらも真剣にキャリアアップを考えている方は、意欲的に取り組んでくださるので、積極的に依頼したい対象になっています

1人当たりの稼働時間は平均で週10時間程度のため、正社員がおおよそ週40時間稼働なので、正社員1人分で4、5人の副業人材と協働できる計算になり、事業に必要な人的リソースを柔軟に確保できることが、非常にコストメリットの大きい取り組みだと感じています。

新分野進出にも副業人材を活用

今度の展望についてお聞かせください

当社では現在、新たな事業領域として、自立走行できる多関節ロボットを動かすための開発に取り組みつつあります。今までは人材がネックで制約のあったプロジェクトも、副業人材の活用で解決できるようになりました。

ただ、当社が主眼に置いているのはあくまでも正社員の採用です。当社独自の基盤である「ナノフレームワーク」を持ち、オンリーワンのシステムを作っているからこそ、副業人材の方にも興味を持ってもらえています 。企業としての技術力を上げていくためには、やはり正社員を採用して育てていく必要がありますので、今後も大阪産業局とも相談しながら、正社員採用も継続して進めていきたいと考えています

代表の田中康一氏と、部長の田中有希氏
▲代表の田中康一氏と、部長の田中有希氏